Activity Report

B Lab 研究員紹介【No.1 季里さん】

2022.7.15

さまざまな業界の第一線でご活躍されているB Lab研究員をご紹介する「B Lab研究員紹介」シリーズ。今回は女子美術大学の季里教授に話を伺いました。

Profile

季里 (女子美術大学 アートデザイン表現学科メディア表現領域教授)

1980年代よりコンピュータを使った映像作品制作を開始。子ども向けTV番組にCGアニメーションやバーチャルセットデザインを提供。1990年代にはCD-ROM作品をリリースしマルチメディア展覧会を行う。様々なハードウエアに向けた音楽ゲームの企画・制作に携わり国内外で発売、受賞多数。企画・キャラクターデザイン・グラフィックスを手がけたプレイステーションのビデオゲーム「ビブリボン」(1999年発売)は、2012年にニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションとして収蔵された。2010年台に入り「こども」「クリエイティブ」「遊びと学び」をキーワードに、デジタル+アナログを活かした新しい概念の絵本やクリエイティブワークショップを研究開発中。

Q. 普段の活動について教えてください

美術大学の教員として、キャラクターデザイン、デジタルコンテンツの企画開発を中心に、外部とのプロジェクト関連の授業を担当しています。中高生向けのアニメーションワークショップや、子供向けのクリエイティブワークショップなども企画・運営しています。学生時代に教育学部で美術を学びました。在学中から現在まで「おしえる」「つくる」両方の活動を続けております。

大学卒業後に研究生として参加した工学部の研究室で子供番組のアニメーションを制作したことをきっかけに、TV映像制作、マルチメディアコンテンツ(CD-ROM)、コンシューマーゲーム、デジタル絵本と、メディアの変遷とともに教育・エンターテイメントのコンテンツ制作を行ってきました。また、初期の国産バーチャルセット、携帯3Dスキャナー、音声を使った電話コンテンツ、リアルタイム情報発信技術調査に関する研究等、企業の研究開発協力のなかで、表現と活動の幅を広げてきました。

並行してそれぞれの時代の先端テクノロジーを使い新しいメディア向けのクリエイティブカリキュラム考え、教育機関や一般・子ども向けワークショップやTV番組などで「つくる」楽しさを広めてきました。

Qバーチャル研究室での活動について教えてください。

2021年年度のプロジェクトテーマは、オリジナルキャラクター開発研究です。

「オンラインでの会議やSNSでのコミュニケーションが日常となりつつある現在、リアルな自分の姿以上にアイコン(プロフィール画像)を通して他者と接する時間が増えています。オリキャラ研では、自分を伝えるキャラクターをデザインし、アイコンやスタンプを制作します。」という募集内容で3名のメンバーが集まり、昨年9月にプロジェクトがスタートしました。

キャラクターと言っても、人によって捉え方が違います。

漫画やアニメ、ゲーム、映画や小説に登場するフィクションの登場人物(動物や無生物も場合もある)の性格であったり、最近よく耳にする陰キャ陽キャ、やキャラ被り、のようにリアルな自分自身の立ち位置的なことであったり、ぬいぐるみや文房具・雑貨商品となって、日常生活に寄り添ってくれるモノであったり。

本プロジェクトでは、オンライン・オフラインのコミュニケーションの中で、肉体ある自分に変わって(または助けて)円滑な交流を行う自分キャラクター(自己紹介キャラクター)の開発を目指しました。アイコンは、目に触れることも多く、初対面時の話のきっかけにもなります。また、オンラインミーティング、チャットの時にも、その人がそこに存在しているような安心感があります。

プロジェクトは以下のように進めました。

まず、初回オンライン顔合わせ前の宿題として自分インタビューを行っていただきました。

「自分を探るヒント」として、自身の名前の事(名は体を表します)、ルックス、性格、好きなもの・こと&理由、過去と未来について、さらに細かな質問に答える形で書き出してもらい、初回にそれを元に自己紹介を行いました。

2回目は、「自分の顔を観察して描いてみる@iU」

対面で行いました。中学校の美術以来のということで、鏡(やスマホの画面)と睨めっこし、コピー用紙に自分を描いてみました。キャラクターデザインにおける自分キャラクターは似顔絵ではありません。本人に代わり為人(ひととなり)を伝え、趣味趣向、生活感までも感じられるものがキャラクター、なのですが、外見を自分でどうみているか、は大切な要素の一つです。

3回目は前回描いた絵を元に、良いところをピックアップし太いラインで強調します。スキャナーがないため、スマホのスキャンアプリを使ってデジタイズ。4回目は、さらにキャラクタービジュアルをブラッシュアップしながら、自分の日頃のよく使う言葉を書き出します。メンバー同士で、お互いの口癖を確認しなら、「そんなこと言ってる??」「いつも言ってるよ〜」と賑やかで楽しい自分発見の時間でした。

5回目は、口癖に合わせ、開発したキャラクターから8つのバリエーションを制作。また、キャッチーなタイトル&キャラ名を決めました。「仏のきよの」「チャレンジャーいわさん」「シュッと・もてぎ」です。この3人、名前を聞いただけでも会ってみたくないですか?

6回目は、Lineスタンプリリースの条件を確認し、再びブラッシュアップ。

そして、最終回には、3人のうち2人のスタンプが無事リリースされました。

これまでも美術系大学の授業や高校生向け出張授業、美術館で「自分キャラクター」をつくるワークショップを行ってきました。

もともと絵を描いたり何かをつくることが好きな人が参加しており、短時間のワークショップにもかかわらず「まさにその人だね!」というべき自分キャラが簡単に生み出されてきました。

「非美大生がキャラクターデザインに挑戦する」今回の活動は、画力に頼らず自分情報をどのように整理してビジュアルとして表現するか、という点で私にとってもチャレンジでした。

参加メンバーからの感想

参加メンバーからは、このような感想をいただきました。

・スタンプを作成する過程で、自分自身の顔をイラスト化する為に、改めて自分をまじまじと見るというのは新鮮な体験でした。

・コロナ禍ということもあり、相手の顔を見た会話が成り立ちにくい現状で、自身の顔とよく使う表現を盛り込んだスタンプは受けが良く、個人的にも文字だけの会話の中でも自身の情報を相手に少しでも多く伝える手段はとても良いなと思いました。是非、続編も作ってみたいと思いました。

・季里さんにイラストのレクチャーを受けるたびに、自身のイラストの表現力が上がって行ったのが素直に楽しいと感じました。

プロジェクトメンバーの3人は他プロジェクトでも忙しい中、非常に積極的に参加してくださいました。絵描きの道具(スケッチブックや鉛筆、ペン、スキャナー、鏡、定規、Adobeツールなど)がなくてもすぐに検索して適切なアプリを探し出して代用し、LINEスタンプのリリースも自分たちでスムーズに行いました。

今回の自分キャラプロジェクトで、自分自身をどう捉えているか、他者にどう自分を伝えたいと思っているかに改めて考えるきっかけになったと感じていただけたことは嬉しく、短い期間で、0からスタートしコンテンツをリリースできたことは私にも驚きでした。

メタバースの時代が現実味を帯びてきました。次回はメタバース内でバーチャルLabや自分キャラ(アバター)をつくるプロジェクトができたら楽しいですね。バーチャル茶室もつくり、メタバース茶人としてみなさんとお茶しながらお話しできる日が待ち遠しいです。