B CREATOR LAB 活動報告
B CREATOR LABは、誰もが自分の想いを表現できる「クリエイター」になれる教育カリキュラムの研究・開発を行っています。今回は、プロジェクトディレクターの宮島さんに、プロジェクトの活動・成果報告を伺いました。
B CREATOR LABでは、中高生を対象として映像文法カリキュラムを研究・開発しています。映像文法とは、人に意図を明確に伝えるための映像の規則のことです。
プロジェクトを始めるきっかけ
私自身、このプロジェクトを始めようと思ったきっかけは、高校の授業で行ったドラマ制作で挫折した経験です。中学生の頃から動画を編集すること自体は始めていたので得意意識はあったのですが、実際作ってみると、見てくれた同級生にメッセージやストーリーが全然伝わらないものになってしまいました。
当時の私は「映像クリエイターは天才なんだ!私には無理なんだ!」と人知れず傷ついていました(笑)しかしその後、大学の授業で認知映像論を学んだり、アニメ監督の富野由悠季監督(代表作:機動戦士ガンダム)の著書『映像の原則』に出会ったりして、どうやら法則やパターンがあるらしいぞ!ということを知ることができました。
もちろん、法則やパターンだけを抑えれば面白いものができるという訳ではないと思っています。しかし、今の時代はSNSに動画を載せて何かを発信することが当たり前なので、誰もが多くの人に映像でわかりやすく伝える方法を知っておくと、より多くの人とスムーズにコミュニケーションがとれるのではないか?と考えこのプロジェクトを始めました。
映像文法【モンタージュ】
映像文法自体は、Arijionという方が本にまとめるのに12年かかったほど多くの文法が存在します。なのでカリキュラムではいくつかピックアップして習得してもらうのですが、今回はそのうちの1つ【モンタージュ】をご紹介いたします。
【モンタージュ】とは、2つ以上のショットを繋ぐことで、各ショットでは表現できない内容(ストーリーやメッセージ)が生まれるという理論です。例えば、下の写真のように2枚目に男性があくびをしているショットを入れることで、1枚目の女性は男性を待っているんだということを見ている人にわからせることができます。(1枚目単体だと、もしかしたら電車が遅れているのかも知れないし、自分が家を出るのが遅くなってしまったのかも知れません)
このモンタージュの効果を生徒には演習で実感してもらいます。小道具を使って2枚の写真を撮り、映像を編集。最後に上映会とモンタージュの解説をするという流れです。生徒は下のような作品を作ってくれました。
ワークショップの開催
有り難いことに、このような演習を含めた授業やワークショップを2022年度は高校の授業で7コマ、2023年度はワークショップで5回、高校での授業で14コマ×2クラスと様々な方面のご協力で行うことができました。その中でもワークショップは、5回ともB Lab 長崎と共同での開催です。また、内2回は子どもゆめ基金の助成を受け、実施しています。
実際に参加した生徒の皆さんからは「普段ドラマを視聴する時も作り手がどんな意図で作っているか考えるようになった」「モンタージュなど工夫するポイントがわかったので、今後に活かしたい」といった感想をいただきました。今後、全国の学校に広げるべく、試行錯誤していきたいと思います。ご興味のある方はぜひお声がけください!