Activity Report

【B Lab 研究員紹介】No.13 石藤 創さん

2023.7.14

様々な業界の第一線で活躍する「B Lab研究員」を紹介するシリーズ。今月は、B Lab GhanaオーガナイザーでMAGO CREATION株式会社の石藤 創さんに話を伺いました。


石藤 (ISHIDO, Hajime)
MAGO CREATION株式会社 アート事業/NFT事業/ミリーちゃんプロジェクト担当

フォトディレクターとしてキャリアをスタートし、その後、大手広告代理店や制作会社にて数々の国内外クライアント案件をWEBディレクション。クリエイティブのその先の本質に共感し、 MAGO CREATION株式会社に入社。アート事業とともに、NFT責任者としてプロジェクトを推進。ミリーちゃんプロジェクト(コンテンツ事業)も兼務。テクノロジーを通した課題解決に向けてB Labガーナ立上げに至る。

今まで取り組んできた活動について教えてください。

世界の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーを訪れたMAGO CREATION代表の美術家・長坂真護(MAGO)は、先進国が捨てた電子機器を燃やしながら生計をたてている人々の姿など、資本主義の負の側面を目の当たりにしました。この現状をアートを通じてより多くの人に伝え、その劣悪な環境や歪みを改善するために、MAGOは投棄された電子廃棄物を利用したアート作品を自ら制作し、その売上を現地の人々へと還元する活動を続けています。

「寄附」というかたちではなく、Ghanaの人々が雇用され、自立し、サステナブルに経済が循環するような活動を推進しています。スラム街のゴミからアートを作り、ゴミも減らし、経済を循環させ、世界にメッセージも発信する。さらに、アート制作だけでなく、再生プラスチックのリサイクル事業や、教育分野への取組にも力を注いでおり、現地に学校も設立しました。文化・経済・環境(社会貢献)の要素が結びつき、3つの軸が持続的にまわるサステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)を提唱しています。

石藤さんがこの活動に参画したきっかけは?

今振り返ると、たまたま縁がありMAGOのアトリエを訪れた際に、アート作品を購入したのがきっかけです。もともとアートを買うという考えはなかったのですが、MAGOのビジョンに共感し、またアートを購入することがその先にあるガーナのスラム街の未来へ繋がることを想像することができました。また、購入した際、MAGOからの「ガーナのスラム街を僕が必ず変えていきます」という言葉が自分の中に深く刻まれたのを今でも覚えています。その後、個展の手伝いをする機会等があり、気付けばチームの一員として活動するようになっていました。人生の大半を仕事に割くなかで、自分の命を賭けるに値する、意義のある仕事に出会えたことは幸せなことだと思っています。

私はもともと写真やWEBなどクリエイティブな仕事に就いていたこともあり、現在は、アートや個展の推進以外にもNFTやデジタル系の事業を担当しています。私達の最大の目標は、2030年、ガーナ・アグボグブロシーのスラム撲滅です。そのために、世界の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーを含むガーナ人10,000名の雇用を目指しています。アートを含め我々の活動は全てそのためであり、今後も『行動こそ真実』を掲げ、「劣悪な環境のスラム撲滅」「地球環境の改善」「世界平和」に向けて邁進します。

B Lab Ghanaではどのような活動を行っていく予定ですか?

とある勉強会で弊社の大塚とiU生の卜部さんが知り合ったことをきっかけに、iUやB Labと連携して活動を広げていこうという話になり、とんとん拍子でB Lab Ghanaの設置が決まりました。

B Lab Ghanaでは具体的に、B Lab研究員や学生とともに、メタバースの空間を構築したり、MAGOが創り出したSDGs キャラクターIP 「ミリーちゃん」をつかった教育コンテンツなどを展開し、サステナブル・キャピタリズムの考え方を世の中に普及していきたいと思っています。

※リサイクルプラスチックを用いて制作したアート作品「ミリーちゃん」

※昨年発売されたGlicoグループ100周年記念の特別なグリコ。日本を代表する建築家・隈研吾さんやドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二さんなど様々な業界で時代をリードしているクリエイター10名の中にMAGOも選ばれ、リサイクルプラでミニチュア化したミリーちゃん(造形製作:海洋堂)が採用された。

繰り返しになりますが、私達の最大の目標はガーナ・アグボグブロシーのスラム撲滅であり、世界平和です。私達は本気でそれを実現しようとしています。ただ、その活動を伝えるとき、どうしても「悲しい」などネガティブな気持ちが先行しがちですが、例えば「ミリーちゃん」というキャラクターを通すことで、「楽しい」「かわいい」などポジティブなイメージに変換し、本活動に対する関心を広げ、多くの人々に自分ごととして興味を持ってもらいたいと考えています。それが必ずや未来の世界平和への架け橋になると信じています。今後、B Lab研究員や学生のさまざまなアイディアや知見、経験を結集・融合させ、活動の幅を更に広げ、スラム撲滅への歩みを加速させていきたいと思っています。

B Lab Ghana メンバー(森井創、卜部美緒、石藤創、大塚俊)

2023.7.14